🎧この記事はポッドキャストでお楽しみいただけます🎧
Apple Podcast
Spotify
Amazon Music
YouTube
※2025年9月6日に公開したエピソードの要約記事です。
現代では「人と人のつながり(親睦)」をもたらす沖縄の模合、実は人が長生きするための「健康長寿の秘訣」だと言われています。
さらに沖縄の模合文化の歴史を見てみると、金融や相互扶助という役割も担っていて、沖縄の人々はその仕組みを積極的に活用し、生き抜いてきました。
今回は「沖縄の模合」を話題にお届けします。
沖縄を想う・考えるラジオ「Endless Journey OKINAWA」
番組ナビゲーター:NEO AKROS(ネオ アクロス)新崎 恭平
沖縄の歴史にまつわること、様々なフィールドで活動する人々への対談インタビューを通して「今と昔の沖縄の人の暮らし・生き方」をテーマとする番組をお届けしています。
沖縄の土地と人、人と人をつなぐ『架け橋』となり、沖縄を想う・考える番組を目指しています。
沖縄の健康長寿と「ブルーゾーン」
世界の長寿地域としての沖縄と「人とつながる」ことの重要性
この言葉は、イタリアの長寿地域を研究していたジャンニ・ペス氏とミシェル・プーラン氏によって初めて提唱されました。
その後、研究者であり探検家でもあるダン・ビュイトナー氏がこのコンセプトを引き継いで対象地域を拡大。
我らが沖縄は、サルデーニャ島(イタリア)、ロマリンダ(アメリカ・カリフォルニア州)、ニコジャ半島(コスタリカ)、イカリア島(ギリシャ)と並ぶ5つの「ブルーゾーン」の一つとして世界的に知られることになったのです。
ダン・ビュイトナー氏は著書『The Blue Zones 2nd Edition -世界の100歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール-』(2022年、祥伝社 ※原書発行は2008年)の中で、ブルーゾーンに共通する生活習慣として「適度な運動を続ける」「腹八分で摂取カロリーを抑える」「はっきりした目的意識を持つ」といったことに加え、「人とつながる」という教えも含まれています。
またNetflixドキュメンタリーシリーズ『100まで生きる:ブルーゾーンと健康長寿の秘訣』(2023年配信スタート)では、沖縄が初回で特集され、ビュイトナー氏が発見した健康長寿の秘訣の一つとして「沖縄の模合文化」が具体的に紹介されています。
沖縄の健康長寿の現状
近年の統計を見ると、沖縄の長寿に関する状況は一見変化しているように見えます。
一般的に「平均寿命」と呼ばれる「0歳における平均余命」で見た場合、沖縄県のランキングはかつてほどの高さを維持しているわけではありません。
しかし、高齢期に焦点を当てると、その様相は大きく異なります。
特に高齢期において沖縄の優位性は顕著であり、65歳および75歳時点での女性の平均余命は全国1位、男性も75歳時点では全国2位と、依然として高い水準を誇っているのです。
参照:令和2年都道府県別生命表の概況 都道府県別にみた平均余命
「古き良き沖縄のライフスタイル」が、特にその文化を色濃く受け継ぐ、ご高齢のおじー・おばーの方々にとって、今なお、健康長寿に大きく寄与し続けている可能性があると思われます。
模合文化と健康長寿、その科学的なつながり
模合のような「社会的な繋がり」が心身の健康に寄与することは、研究によっても示唆されています。
2013年の沖縄タイムスの記事では、今帰仁村の高齢者を対象とした調査から、次のような結果が報告されています。
今帰仁村の高齢者を対象に実施した調査で、模合など人とのつながりの多い人ほど健康状態が良い傾向にあることが分かった。「多くの人と交流することで健康情報が集まり、人とつながることで精神的にも良い影響を与えている可能性がある」と指摘している。
沖縄タイムス 2013年2月19日紙面※WEB上の画像より
また、2018年の八重山日報に掲載されたインタビュー記事では、長寿の背景にある文化的な要因について、以下のように述べられています。
「食生活や生活習慣以上に、沖縄の人々の歴史と文化に根ざした、人と人との結びつきのスピリットが大きいと思う。現代人の生活リズムと食生活だけで長寿を定義するのは難しいが、沖縄県民が過去から現在に至るまで人と人とのコミュニケーションを重んじていることは、長寿であるための重要な条件になり得ると思う。つまり、大切なことは孤独ではないということ」
長寿の秘密は〝模合〟? 鈴木氏「孤独でないこと大切」 沖縄復活㊤ 八重山日報
模合という社会的な仕組みが、定期的な集まりの場を提供し、社会的孤立という健康リスクから人々を保護することで、精神的な安全性をもたらし、ひいては長寿に貢献している可能性があると考えられます。
時代と共に進化する「沖縄の模合」の歴史
文化人類学者の平野美佐さんの著書『沖縄のもあい大研究 模合をめぐる お金、助け合い、親睦の人類学』(2023年、ボーダーインク)を参考にさせていただきました。
模合は、古くは琉球王国時代から続く、非常に長い歴史を持つ文化で、当時は「ユーレー」や「ムヤイ」といった呼び名で知られていました。
労働力を提供し合う「ゆいまーる」の時代
お金(貨幣)がまだ広く普及していなかった時代、模合はモノやお金を融通し合う仕組みでした。
不作の年に備えたり、貧しい家庭を援助したりするために、皆でお米を集めて備蓄するといったことが行われていました。
そして、モノだけでなく「労働力」を融通し合うことも一般的でした。
サトウキビの収穫や家づくりなど、多くの人手を必要とするときに「労働の模合」が起こされ、地域の人々が互いの作業を手伝い合ったのです。
これは、沖縄に根付く助け合いの精神「ゆいまーる」の原型ともいえます。
この言葉は、協働作業を意味する「結い(ゆい)」と、順番が回ってくることを意味する「廻る(まーる)」が合わさったもの。
お互いの仕事を順番に手伝い合うという、まさに「助け合いの循環」の精神が、この時代の模合を支えていたのです。
“みんなの銀行”としての模合(金融システムの役割)
近代に入り、誰もが利用できる銀行制度が整う以前の時代、模合は人々の生活を支える「銀行」のような役割を担っていました。
商売を始めるための開業資金、子供を大学へ行かせるための学費、冠婚葬祭の急な出費など、まとまったお金が必要な際の個人の資金調達手段として、模合は不可欠な存在でした。
興味深いことに、沖縄の金融機関の一つである「沖縄海邦銀行」は、この模合の仕組みから発展したと言われています。
参照:「模合が生んだ金融機関 沖縄海邦銀行の成り立ちと模合の関係」 QAB(琉球朝日放送)
“人と人とのつながり”を紡ぐ現代の模合へ
銀行や信用金庫といった近代的な金融システムが社会に浸透し、個人の資金調達が容易になったことで、模合が担ってきた金融的役割は相対的に低下しました。
その結果、元々内包されていた「親睦」の側面がより前面に現れ、現代における”人と人とのつながり”を支える役割へと主軸を移してきたのです。
困難な時代を生き抜くための生活の知恵であった模合は、その形を変えながらも、現代では人と人とのつながりを支え、社会的な孤立を防ぐ「健康長寿の秘訣」として、脈々と受け継がれているのです。
「ポッドキャスト」でこの内容をより詳しく聴く🎧
沖縄を想う・考えるラジオ
「Endless Journey OKINAWA」
-沖縄のヒトの暮らし・生き方をめぐる、終わりなき旅-
月1~2回・最新話を公開!
🎧↓ぜひフォロー・チャンネル登録をお願いします↓🎧
「Apple Podcast」で聴く
「Spotify」で聴く
「Amazon Music」で聴く
「YouTube」で聴く

